元KADOKAWAのビジネス・実用書出版コンサルタント/編集者/出版ジャーナリストの渡邉です。
改めて商業出版にかんし「学び直し」「見直し」してもらえたらと思い、ブログを書いております。
今回は「商業出版における3つのフェーズ」についてです。
出版も「段階」と「流れ」があります。
それぞれのフェーズでどんなステップを踏むのか、把握しておいてもらうと良いでしょう。
なお私のコンテンツは「ビジネス・実用書」です。小説やコミックなどの領域ではありませんので、あらかじめご理解ください。
商業出版(の流れ)には3つのフェーズがあります。
「準備〜出版決定まで」
「制作期間」
「販促・広報」
活動です。
それぞれ見ていきましょう。
1、出版決定までの活動フェーズ
自分のコンテンツを商業本化するためのフェーズ。いわゆる「出版準備」期間です。
商業出版は「出版社」の全面協力がないと成し得ません。
自分のステイタスやコンテンツとの相性が合う出版社、あなたのコンテンツを「本にさせてください」とお願いしてくる出版社を見つける必要があります。
そのためには、
・出版企画書
の準備と
・出版社へのプレゼン
アプローチが大切ですね。
ビジネス書や実用書は「新人賞」などのタイトル・登竜門的なシステムはありません。
出版社への直接アプローチがデフォルトとなります。
ただ何もないまま、出版社の編集者は会ってくれませんし、あなたの著者活動を応援してもくれませんし、出版相談のようなコンサル的な仕事も行いません。
その意味でも出版企画書の作成と、アプローチをおこなうことで、なんとか出版社にて企画を本にできるよう(出版決定に向けて)動いていく活動を行うことが必要です。
出版決定の可否は出版社の「企画会議」によるところが大きいです。
この会議も会社によりますが、1週間〜1、2ヶ月くらいかかるところがザラです。
ただこの会議を経て、出版社で「出版しましょう!」となったら出版決定として、本づくりの行程に入っていきます。
2、本の制作フェーズ
あなたのコンテンツが「出版決定」となった場合、執筆〜編集〜印刷製本までを出版社および出版社の編集者と二人三脚で進めるフェーズに入ります。
出版が決定したら、著者の仕事は「原稿作成」。
原稿が本の「原資」になるので、ここへの労力と注力が必要になります。
原稿作成は著者にもよりますが、早い人で3ヶ月くらいで仕上げます。
ゆっくりペースだと5ヶ月〜1年くらいかかることも。
ただビジネス・実用書は、時代の「旬」もあるので出版が決定したら、なるべく早く出すことが大事です。
原稿執筆にへんに時間をかけすぎないことがポイントかな、と思います。
本人で原稿が書けるのであれば書いたほうがベストです。
ブックライターを起用することももちろん可能ですが、その際は「取材」となり、口頭で自身のコンテンツをよりよくアウトプットできる力が試されます。
良い本を作れるかどうか。
売れて自身のビジネスブランディングにも良い流れを与えたいなら、著者の「口頭アウトプット力」がとにかく左右します。
誰の本ですか?あなたの本でありライターさんの本ではありません。
ライターへの丸投げ行為は絶対にやめましょう。
言葉が脆弱になり説得力にかけます。
商品力も圧倒的に落ちます。
編集者から厳しく「書き直し!」を指導されることがありますよ。
原稿が完成したら、編集者に提出して編集者やブックデザイナーによる装幀、作業校正・ゲラ確認校了(責了)〜印刷製本に至ります。
原稿作成〜製本までは早くても「半年」、長くて1年くらいはかかってくるかな、といった感じです。
この間、著者さんにとっては「産みの苦しみ」が付きまとうことでしょう。でもそれが本づくりには大事だし、つきものだし、あって当然だし誰だって経験してます。
ベストセラー叩き出している大御所ほど
「この本出して大丈夫かな」
「売れるかな」
「読者に本当に喜んでもらえるのだろうか」
と超絶不安に襲われ、寝られなく日が刊行時はやってきたりするものだそうです。
誰もが通る道なので、深いネガティブには囚われないように進みましょう!
3、販売と広報、ビジネスとの連動拡散フェーズ
本が出来上がったら、いよいよ販促と広報のフェーズです。
残念ですが、令和7年の現在、20年前に比べリアル書店の数が「半減」しています。
売り場が減っているので、本を出せばあとは本屋さんに置いといて、何もしなくても勝手に売れる、という発想は絶対にやめてください。
とはいえビジネス・実用書、は著者の方でも販促や広報は積極的に行うのが「慣例」であり「伝統」でもあります。
ここが小説やコミックのような「文芸系コンテンツ」と全く異なる世界です。
著者でも売る。著者の方でも積極的に自著をPRするのは、当たり前の世界です。
ビジネス書の著者さんで多い「じぶん販促例」は下記です。
>自分のメディア(HPやSNSなど)で自著をシェアする
>クラウドファンディングでのイベント&販売
>セミナーや講演会での即売
>名刺などのビジネスツールに自著のカバー画像などを入れてシェア
>自分のマーケ戦術の一環として「自著をプレゼント」したりする
・・・他にもいろんな方法があると思いますが、ビジネスパーソンにとって本は自身の分身です。必ず自身でもPRすることに努めてもらえればと思います。
ビジネス・実用書の世界で「本は名刺がわり」と言われるゆえんもここにあります。
ビジネスパーソンとして本を出したなら、本を上手に自身のビジネスと拡販に活かしてください。
本は勝手には売れていきません。
そういう時代は昭和のみです。
昭和時代は主要メディアが「紙」でした。
紙しかありませんでした。
今はスマホがあり、web&SNSが全盛です。
この時代に即した、適切な行動をとっていってください。
なお、Amazonでたくさん売れても重版や増刷の「引き金」にはなりにくいです。できるだけ「本屋さん」で売れたり在庫が捌けたりするほうが大事です。数は減っていますが、出版社の営業部は「本屋さん」の動向にかなり注力しています。
その意味でも「著者が自著を広報して、本屋さんで買ってもらうよう促す」というのが今の時代のトレンドになるのだろう、と考えています。
2作目、3作目を出したいと思うなら、やはり「1作目」「前作」の売れ行きや実績は大きなウェートを占めてきます。
出版社は必ず「前著の実績」の情報開示を求めてきますので、その意味でも本当に良い出版活動をされることをオススメします。
良い出版活動とは、
・出版社
・著者
・読者
・・・これが「三方よし」であることです。どれか一つでも均衡が崩れることになると幸せに成功する商業出版にはなりません。
ぜひより良い出版活動をしていってください!
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