出版

基本的な出版の流れ

こんにちは。
編集プロデューサーの渡邉理香です。

今回は基本的な出版(本が出るまで)の流れとちょっとした基本の知識を記します。
本って、どのように作られているのだろうか?
どうやって販売されているのか?

 

さくっとまとめますので、ぜひ参考にしてくださいませ。

 

0)期間

本の企画がたって、本を制作して、できあがっていざ販売!ということになるまでの期間は約5ヶ月〜6ヶ月です。
早い場合はもっと縮まることもあるし、ゆっくりじっくり作っていく場合は1年かけることも。

しかし、おおかたの場合、約半年間くらいかけてつくっていきます。

 

さて、ながれです。

 

1)出版社から著者候補の方に企画のオファー

これ以外に「持ち込み」や「紹介」などを経由して、出版企画がたちあがることも。でも原則は、「企画を出版社の編集者が著者(著者候補)へオファー」します。

2)著者先生と企画について相談。

企画書を編集者がまとめて(→ここ大事。本当に出版化となる場合は、企画書は著者ではなく編集者が最終的にまとめ・作成するのです)、会社の企画会議に提出(会社によって、1回〜3・4回くらいあります)。

こうしたのち、企画が出版社として通過したらいよいよ本格的な制作活動が開始されます。

3)原稿を書く。原稿をつくる

著者の先生が、自ら書く場合もありますが、ビジネス書や実用書は「ライター」を投入して、取材のうえ書き起こす場合も。

巷では、ゴーストライターのことでいろいろと賛否があるようですけどビジネス・実用のジャンルの本については、ライターさんによる取材・執筆はけっこう「合法的」というか、普通のことです。

文芸(小説やノンフィクション)の作家さんと比べて、著者が築き上げたノウハウ・メソッドを的確に文章でまとめ、表現し、伝えることが本質だったりもするので、文章の巧さ、などはあまり必要ではありません。

でも、ビジネス書や実用書の場合、読者や市場性を考えたときの「書き方・見せ方」というものはコツがあるのも確か。

だから「作文」ではいけなかったりもする…。

よってその辺は「ビジネス・実用書籍制作のプロ」がサポートさせていただいた方が円滑に製作進行が進むこともあります。

だから、ゴーストライターが悪、みたいな風潮は、やめてほしいなあと思ったりもします。

また、実際ライターをいれたほうが原稿が早く仕上がるから、というのも起用の理由です。
出版社にとって「本」は商品。その商品を出していかないと売り上げがたたないから、テーマやジャンルによって、スピード感をもって刊行していくことが求められます。

その場合、ライターを活用させてもらったほうが早く原稿があがることも多い。

早くかける方であれば問題ないですが、そうでない方もいらっしゃるので、ライターを活用するわけです。

なお、原稿作成の期間は、早筆のかた、遅筆のかたなどいろいろですが、おおよそ3〜4ヶ月くらいで、執筆完了のめどがたつことが多いです。

 

4)原稿作成後、「編集作業」。

編集作業って、どんなことやっているの?と聞かれることも多いです。

ようは、「売る本」として読みやすく・分かりやすく原稿を整えて、ブラッシュアップしていくことです。

具体的にいうと、作家さんの了解も得ながら文章全体を添削したり、リライトしたり、各章や文内の項目の見出しをつけたり変えたり、必要ならイラストや図版を追加で入れることを考えたり…など、本らしーくしていきます。

また、誤字脱字や語句の統一などを行ったりします。

おおよそ1週間くらいで、この作業を行います。

 

 

5)入稿

原稿がまとまったら、DTP(デスクトップパブリッシング)といって、本の「版」をつくる特殊なソフトへ入稿し、校正紙(ゲラ)をだします。

で、ここでも業界用語がいろいろでてきました。

ゲラ?(笑っている擬音語ではないですね…)

校正紙?

 

なにそれ・・・。。

 

そう、なにそれ、、、な「業界用語」がバンバン飛び交うのが、この出版業界の特筆すべき点。ほかにもいーーーっぱい業界用語があって、それを「普通の会話」レベルで編集者や営業、ベテラン著者さんは使うので、特に初めて出版を経験される方は「????」が多くなります。

 

出版は、実はその起源が「江戸時代」でもあり、それこそ約300年は続くまさに「文化・伝統」ともいうべきちょっと特殊な事業体でもあり…。なので、江戸時代の考え方が反映された用語も多数あるほどなんです。

 

なお、校正紙とは簡単にいえば

 

校正を行うために試しに印刷したもの

 

です。

 

ゲラとは?

 

校正紙の別の呼称

 

です。

 

 

で、この「校正紙(ゲラ)確認を著者にみてもらい、あわせて校正(校閲)者、著者もみます。
これを2〜3回くらいは繰り返し、もう修正もなにもなく、印刷に回せる!と決心したら「校了」となって、いよいよ本を印刷する工程へ。

なお、こうした作業と並行して、本の顔ともいうべき「カバーまわり」も作っていきます。

 

6)印刷・製本へ

印刷製本を行います。これは、専門の業者さんがいるので、すべてお任せ。この部分は出版社の人間はほぼノータッチ。

 

 

7)完成!販売

できあがって、本屋(リアル書店+ネット書店など)さんへ。

発売!!

 

 

となります。

 

なお、販売のけんにあえて言及しますが、本って・・・

 

書店への委託販売

 

なんですよね。

 

だから、家電とかみたいに、小売専門店が買い切って値をあらためて設定して販売する!といったことが法律上できません。

 

原則

①売れなかったら書店から取次会社(卸売)と経由し出版社へ、ラクラク返品〜〜〜〜〜。

②価格変更は不可!

 

となってます。

 

返品できる!という、結構メーカー(出版社)としては過酷な世界でして…。

よって、ここでもいろんなドラマや裏エピソードがたくさん発生してますが(笑。

 

「実際売れた数」というものが、この現代においても正確に割り出せない、本当に特殊な商品なのですね(しかし、一部の出版社はこの形態をとっていないこともあります)。

 

とまあ、ざっくりとですが、「流れ」を解説いたしました。
とりあえず、出版を考えている方は以上をおさえてもらえるとよいかと思います。

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