編集プロデューサーの渡邉理香です。
今回は、会社員として大企業に勤めつつ「著者」としてご活躍中の方に直撃インタビュー!
ビジネス書・著者の下地寛也さんです。
『コクヨの1分間プレゼンテーション』『プレゼンの語彙力』(いずれもKADOKAWA)『一発OKが出る資料 簡単につくるコツ』(三笠書房)『困ったら「分け方」を変えてみる』(サンマーク出版)など…、お勤めをしつつ10冊以上の書籍を送り出し、ヒット作も多数!の、とてもユニークなステイタスをお持ちな著者先生です。
インタビュー当日…これから西日本方面へ出張というなか、羽田空港でその御身柄を確保(笑。
出版に関する思いや、メッセージを率直にお伝えいただきました!
思いつきでダラダラ書いた方が、いいものが書ける!?
―――――まず最初に、下地さんが出版を考えた理由をお聞かせいただけますか?
たしか最初に渡邉さんと組んだ本が『会議がうまくいくたった3つの方法(KADOKAWA/中経出版)でしたよね。
あの時は、自身が研修の仕事をしていて、その内容をわかりやすくかつ網羅的にクライアントさんや世の中に伝える方法を模索していて、出版を考えていました。
―――――実際に本を書くということを、サラリーマンとして勤めながら経験されたとおもいますが、どうでしたか?
一番最初は…書くのはたいへんでしよね!
本を書く方なら誰もがご経験あるでしょうが、とにかく頭がパンパンなかんじになりました。
途中でわからなくなってくるんですよ・・・。
最初の4分の1までは、細かく・きちんと書こう!とおもってやりはじめるのですが、それがどんどん難しくもなってくる。
最後の方はもう「勢い」だけで書いていました。
それこそ、あの時は夏休み期間でもあって、家族とレジャーいっているときにもレジャーそっちのけで原稿を書いていたほどです(笑。
でも、、はじめて新しい世界へ飛び込んで、とても新鮮なかんじでした。
その意味でも「しんどかったけど、楽しい」みたいな感情はありましたね。
――――本1冊を書くということは、確かにパワーがいりますね。そこから本1冊をしあげていく作業を編集者として行ってても思います(笑。原稿執筆するうえでの気づきがあれば、もっと深く教えてください。
最初はすごくこだわって、きちんと書こうと思うし、それをやっていくのだけど、60%クオリティで書きあげるということが大事だな、って確信するようになりました。
とにかく、書き上げる!到達することが大事!とおもいました。
意外かもしれませんが・・・緻密に計算して書くほど、難しいものはないなって!
おもいついてダラダラかいたほうが、実は良いのではないか!?
ということがわかってくるようにもなりましたね。
よく作家さんとかが「物語が勝手に動いていく」とか「文章が自分の枠をこえてかけていく」とかインタビューで読んだりしますが、それは当たってるな、と。
「書いている本人さえ、どうなるかわかんない文章の方がおもしろい」んですよ。
ゴールを決めずぎないほうがいいかもしれないな、とも。
まあ、基本的な文章の書き方はずれないほうがいいし、受動態と能動態がねじれたりする人もいるので、さすがにそれはよくないけど、普通に文がかける人はざっくり書ききってしまって、あとでそれなりに手をいれて、細かく修正したほうが早いし、いい文章になるとおもいます。
だから、気負わないで書くことをお勧めしたいですね。
本を自分が書けるのか、試してみたい!挑戦したい!という気持ちが前だった
―――ざっくり書くってわかりますね。実際本にしていくうえでは、第一稿のものがそのまま本になるわけではないですからね。どんどん編集のほうでも手をいれて、また新しい形になってあらわれてきますしね。
ちなみに、ビジネスパーソンとして活躍される下地さんは、やはりブランディングとかも出版で意識されていたんですか?
うーん、実はそれはあまりなかったんですよね(苦笑。
仕事のため研修のためとか、ブランディングのため、とか皆さんいわれるけど・・・。
実際は「本というものを自分が本当にかけるのか、試してみたい!」という気持ちが先でしたね。
たとえば、フルマラソンや富士山やエベレスト登頂したい!と一緒の感覚です。
自分を力をためしてみたい。書き上げて、編集者さんや読者がいいよっていうクオリティになっているのか…それを確かめたい。てほうが強かったかもです。
書いているうちに「頭の整理」にもつながってくる。
あと、自信がつく!んじゃないかってもおもいますね。
自分が考えていることが、本当に説得力をもっているものなのか。悪い意味で独りよがりになっていないか、客観性を自分のなかでシミュレーションできる一連の作業が出版に関わると可能になるとおもいますね。
――――出版を経験してこういうところが変わったな、こんな変化があったな、と思えるところは何ですか?
自分がいなくても、本が一人歩きして、目にとまって読んでもらって、仕事につながる。
そこは、やっぱり大きいです。
営業目的で作った「販促物」と違いますよね!
よろしければ・・・とチラシを渡すのと、本屋さんでお金を出して買ってもらうという点の違いがまずありますね。売り込まなくても、「本を出しています」というだけで、知らず知らずのうちに買って読んでもらえたりもしますから。
そして、読んでもらうことで、自分と読者の方(ひいてはクライアントさん)との「ずれ」がなくなる。
読者の方に深いところをしっかり理解してもらったうえで、コミュニケーションがとれていくので、ビジネスもやりやすいですよね。
営業的に30分自分の説明きいてもらうのは…やっぱり大変。でも本を読んでもらって、コミュニケーションをとることは容易になるし、リラックスしてできるので、それは素晴らしいとおもいます。
本は、自らの専門性や強みを瞬時に説明し、理解してもらうのにも役立つアイテム!
―――サラリーマンとして仕事をしながら著者になったことで、よかったことがあれば教えて下さい。
社内で知っている人が増える。そうすると、やりたいことをしやすくなる。自分の仕事に対するスタンスもコントロールしやすい・・・というのもあげられるかな、と。
社内の人にも「あ、本をだしている下地さんですよね!」って名前をおぼえてもらいやすいです。私の会社はいちおう大企業と言えるのでおおぜい社員もいますから・・・。
そして、自分の強みというか「専門性を説明する」のにも時間がかからない。
メーカーだったら、ヒット商品だして有名になればいいけど、開発スタッフだけで商品ができあがって売れているわけではないですからね。商品もチームでつくることが多いので、個々の存在はどうしても薄れやすいかもしれません。しかし、本は「自分の名前で勝負」するから、オリジナリティがたちやすい。
検索すれば名前がネットもでてきて、わかりやすい。
そして、「残る」ということも大きいかと。
たとえば、本がなくなっても、こういうことやった人なんだ、というログをネット上においておけるのはいいですよね。
PRするとき「アマゾンで下地寛也と検索してみてください」と言えるし。
アマゾンには「著者ページ」がありますよね。著者の名前で検索すれば、著書が集まったページがあらわれる。あれは本を書く人にとってすごいメリットだとおもいます!
会社勤めをしながら著者として活動する秘訣とは?
――――サラリーマン著者として活動する人は、今後ももっとふえていくのでは、とおもいます。企業につとめながら本を出す秘訣を教えて下さい。
最近は副業も解禁されつつあります。だから、その流れのなかで会社と交渉をしていけばいいとおもいます。私の場合は研修部署にいたこともあって、本のテーマがそれに沿っていたのでよい形で結びついたと思っていますが。
ちなみに、会社勤めしながら本を書く・出す活動って、「ノー」ではないと思います。
ただ、会社側としてもそういう前例がないから、どう扱って良いかわからない、というのが実態だと思います。どう対応していいのか判断できない…、というのがあるでしょう。
就業規則に明記されていないし、本を書くという活動を前提としていない場合がほとんどなので。
だから「え・・・社内の情報漏洩大丈夫?」とかって急に心配しだすこともあります。
なので、会社にとっても自分にとっても、そして読者によっても「三方よしだよ」ってことの材料をきちんと提示しつつ交渉していくことが重要にはなってくるとおもいます。
出版は立派な社会貢献。誰かを不幸にするため出版がなされるって原則ないですからね・・・(笑。
あと、本を書いているかたは、独立している人がほとんどですが、企業に勤めている中で得られる経験や知識を外に出したほうが貢献になる場合も多い。
会社員として培ったスキルをストックして形にしていくのは、大事になっていくとおもいます。
本を書くことは、ストレスをなくすことに繋がっている…!?
―――たしかに、日本の企業は良い人材をかかえ、良い人材を育成し、知恵やスキルを豊富にストックしていますよね。そういう意味でも、私も会社員の方ってすごくビジネススキルが高いし、それを社内保持している企業も多い。よい意味で放出できると、企業イメージのアップにもつながりますよね。
そうそう。会社員であることが、執筆のプラスになることも多いんですよ。
いろいろトラブルだったり、愚痴だったりがこぼれることもあるとおもいますが、逆にそれがあると楽しくなってもくるんです。つまり…
本のネタ・本に書くための事例になるのですよ。
揉め事や面倒ごと・・・それも意外とネタになるんです!まさに「トラブルさえもネタになる」だから、前向きな気持ちになれたりもする。
本で語られる課題って、日々の会社員の仕事なかにおちているものですよね。
仕事に対するストレスフルなことでも、「あ、これって本のネタになるかも」と思えばポジティブにもなれる!
そう、本を書くって「ストレスレスになれる」可能性が高いんです(笑。
愚痴をこぼすより、そういった問題を解決するネタを集めたり、考えたりすることが大事だとおもいます。お笑い芸人と一緒ですね。
「実際にネタを貯める」ことを意識しないと8万〜10万字の原稿を埋めることも難しかったりします。これで何ページ埋めれる!という発想をもっていると、日々の仕事のトラブルやストレス事項もたいしたことなくなります。そういう心持ちになると余裕がでてくるし、いい循環になる。
自分にとって、出版はブランディンングとか以上に、ストレスを溜め込まず、精神状態を安定させるツールでもあったりするんです。
本を書くことが「癒し」につながる。だから、本を書くことはやめられない。
「人生穏やかに豊かに暮らしたいなら、本を書こう」って伝えたいですね(笑。
―――すごいですね!本を書く活動が、「癒し」になるとは!!そんななかでも、会社員と著者活動の両立はどうなさっているんですか?執筆時間と仕事と家庭のバランスについて教えて下さい。
自分の場合、目次をプリントアウトして、赤ペンもって消し込んでいく!ということをやってます。かけたら、項目を赤字でどんどん消していく。こうすることでタスクを完了させられるので、すごくいいですね。
受験生のように受験日までなんにち!と鼓舞していかないと、心が折れやすくもなるかも。
とにかく、目次の3分の1くらいを一気に仕上げることを目標にどんどん書いて、書いたところを赤線をひいてつぶしていくんです。そうすると、次第に勢いがついてくる。
それくらいまで書くと、文体や言葉のテイストも決まってきますね。頭が内容にはいっていきやすくなり、書くスピードもあがります。
あと、夏休みとかうまく休みを活用して、書いていくこともよくやっています。
売れる本の企画書は「読み手目線」と「伝えたいことは、何章でいえるだろうか」という逆算の発想をもってつくる。
――――下地さんといえば、出版企画書の精度も高い!といつも拝見していておもいます。企画書の書き方の極意があれば教えてください。
類書の目次を山ほど見ることがやっぱり大切だとおもいます。
書きたい分野の目次をみて、序章と1章でどんなことがかかれているのかをみたり、5章構成でかくか7章構成でかくかを最初にある程度、決めてしまうのもよいかとおもいます。
本は闇雲に何ページもかけばいいというものではないですよね。ページ数も決まっているし。
だから、与えられた枚数から計算する。逆算する発想も大切かと。
あと、「何がいいたいか」「何を書きたいか」ではなく「自分が伝えたいことは、何章でいえるだろうか」と考えるのもいいでしょう。
自分の伝えたいことを5つにグルーピングするとどうだろう?って、かんがえてみるのがそれですね。
テレビ番組は30分という尺があるじゃないですか。本もいっしょ。ゆずれない200ページという量がありますよね。この感覚から、書く内容と構成を割りつけたほうが、言いたいことがあふれすぎなくていいとおもいます。
あと、「問題提起」と「自分なりの解決策」プラス「おまけのテーマをひとつ」くらい。
これでかんがえてみると整理しやすいとおもいます。
そして、「正しい順番」ではなく「面白い順番」で考えるというのも大事でしょうね。
これできない人、結構多いですよね。面白い順番の優先順位を考えること。
かつ「言いたいこと」を先に考えるのではなく、読者に「どう思ってほしい」から内容を考えるという発想も必要かなとおもいます。
「○○○と思わせたい」なら、相手が考える疑問はなんだろうと考えてみる。次に、それを説得できる事例や理屈はなんだろうと考えを進めていきます。
そうすると、読者にとっても読みやすい本にもなるし、通りやすい企画にもなっていくとおもいます。
―――とても濃い情報をありがとうございます!最後に、これから出版を目指す方々にメッセージをお願いします。
出版は、お世辞にも簡単とは…やっぱりいえないと、おもいます(苦笑。
でも、誰もにチャンスはあります。
いっぽうで、本を出したい!とおもっていてもなかなか難しい人って、「いきなり東大に合格するぞ!」みたいに考えている節があるからかな、、とも感じます。
東大を目指すなら「合格できるプロセス」があるはずですよね。そのプロセスを着実に踏むことが大事かな、と。
そのプロセスを通して、いろいろ勉強したりすることで、さまざまなスキルが身につくし、そこにたどり着く心持ちで本を書いたり準備すると、足りないところや自分の考えと違うところにも気づく。
足りなければ勉強すればいいし、違うなら改めていけばいい…というシンプルな話です。
素直に、やるべきことをやって、進んでいけばたどり着けます。
また、200ページの文章を書く・埋めるという行為は50〜60のネタが最低でも必要になってきます。
だから、ネタの量がとにかく必要なんですよね。
100以上の面白い小話を、ストックする!という意識がなければ、やっぱ書けないんですよ。
「量は質を生む」って言葉はほんとその通りだと思いますね。
あと、SNSの発信もふくめ、まわりの人に自分が持っているネタをドンドン伝えてみる。
相手にとって面白いかどうかを、聞いてもらうのは基本の動作でしょう。まわりに発信して「面白い!」のか「ふーん」で終わるのか、反応をみていくのも著者の務めだとおもいます。
とにかく、出版って成長できます!
出版の活動をすることで、視野も広がるし、ビジネスのスキルも自然と身につく。
自分がそうでしたから。だから、出版活動のプロセスはおろそかにせず、着実にやっていってほしいなあとおもいます。
そういうプロセスをふんでいると、自然に実績もついてきたりしますからね。
――――――ありがとうございます!で、これで本当に最後ですが(笑、渡邉と仕事してどうでしたか? 率直にお聞かせください。
渡邉さんは、ぜんぜんこわくないですね(笑。
編集者さんの中には、強いなあ〜、きついな〜と思う人も、多少いらっしゃいます(笑。
バランスがよいので、いろいろと判断してもらうには丁度いいと思います。
編集者として思い入れが強すぎる方もたまにいますよね。そういう方と仕事をするとぐったり疲れることもあります(笑。
渡邉さんは、うまくコンテンツを引き出そうというかんじで接していただけるので、ありがたかったです。いいところと悪いところ冷静にいっていただけますしね。
女性の編集者さんなんで、まずは話を聞いてくれます。そこも安心感があります。
男性同士もいいのですが・・・どうしても、同姓だと、男同士の勝負をしてしまうところがあるかもしれません。無意識のうちに、お互いの値踏みをしちゃうこと、ありますよね。
まあ、でもそういうのもよい作品を生み出すのに必要なこともあります。
そして渡邉さんは、表情や反応で、良いのか悪いのかわかるところも面白いです。まさに「あ、これってよくないかな」と思ったら、渡邉さんは表情に瞬時にでてるし、「いいかな!」と思ったら、そのまま体全体で表現してもらえるので、ほんといろんな意味で「分かりやすい方」だなあって感じていますね!
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これからも益々著者としてご活躍をされていくであろう下地さん。
すでに新たな出版企画も動いているとのことで、期待が高まります。
さまざまな思いを率直に語っていただき、ありがとうございました!
下地寛也さんの著作は下記のリンクからすべて購入が可能です。
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